2018年4月26日木曜日

アンチエイジング市場拡大について思うこと

201841日付日経新聞 「アンチエイジング、米席巻」

(以下、一部抜粋および要約)
調査会社マーケット・データ・フォーキャストによると、米国では今後、1946年~64年生まれの「ベビーブーマー」世代が65歳以上の老齢期に入ること、またこの世代の米国人のライフスタイルとして、生涯現役を通す気持ちが強く若返りの意欲が旺盛であること等の条件が相まって、アンチエイジング(抗年齢)分野の商品やサービスの市場が急拡大すると予測される(2016年市場規模150億ドル→2022年は203億ドル)。

しわ取りのボトックスやレーザー皮膚治療などの美容医療の分野は、年率8%程度の成長が見込まれる。また米ITの集積地シリコンバレーでも「不老不死」をテーマとして技術開発に巨額のマネーが動いている。

以上


さてアンチエイジング市場の拡大傾向は、米国に限ったことでなく、高齢化社会の先頭をいく日本、また中国、欧州等でも見られる「全世界的な傾向」と言えます。

よって企業は、製造業・サービス業、規模の大小、国地域等の別を問わず、この21世紀の世界的大社会テーマと向き合い、知恵を絞っていくことが求められています。弊社も例外ではありません。

今後この分野で活躍して生き残る企業は、資産運用の観点からみても間違いなく有望な長期投資の対象先です。優秀な運用会社はそこを見逃さないでしょう。

ただ個人的に感じるのは、多くの企業(商品・サービス提供者)が、高齢者をマス(全体)で漠然としたイメージで捉えているケースが多い気がします。残念ながら、それでは本当にいい商品開発やサービス提供はできません。

実際、私がファイナンシャル・アドバイザーとしてお付き合いを頂いている60代以上のお客様のことを思い浮かべてみても、そこには実に多様なライフスタイルが存在し、人生の価値観やお金との付き合い方も千差万別です。

一方で共通項もあり、それは弊社のお客様に限って言えば、知的かつエネルギッシュで元気な方が多いということです。そこらの30代~50代より精神的にも健康的にも若いのでは?と思うほどです(笑)。

よって私としては「高齢者向けに特別なサービスを提供している」という意識は、実のところ、ほとんどありません(法令で定められた各種事務手続きを除くとですが…)。

実際、私は一般的に高齢者と呼ばれる年齢層の方々をマーケティング上のひとつの塊として考えたことはありません。常にパーソナルな視点から、誰もがいつかは経験するライフステージの後半戦を生きる先輩だと考えています。

先輩方々の人生の後半戦がより豊かなものになるよう、バリューマネジメントも引き続き頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします!!


























2018年4月12日木曜日

初心に戻って


先週末、ビジネスパートナーのYさんに贈って頂いた「WHYから始めよ!(サイモン・シネック著)日経新聞出版社」という本を読みました。

この本の中で、米国コンサルタントの著者は「ビジネスで成功している個人・組織」の共通項として「それは全てWHYから始まっている」と説いています。

ライト兄弟、キング牧師、アップル、サウスウェスト航空など卓越した成功を収めた個人・組織の根底にある考え方は、すべて「なぜ自分たちはこれをやっているのか?」という自問から始まっており、その解決方法として何(WHAT)かを、何らかの手段(HOW)で行っているのです。

私はそれを「初心忘るべからず」ということだと解釈しました。

例えば、アップルのなぜ(WHY)?は、良質なテクノロジーを提供することではなく、現状に挑戦し社会を変革するという点にあります。パソコンやスマートフォンは、あくまでそのための手段(HOW)であり、結果(WHAT)にすぎないのです。

「アップルはコンピューター会社ではなく、現状に挑戦する会社」

WHY?こそが、個人のライフスタイルや組織のアイデンティティーを示します。

WHY?は創業者の思想や生き方の中に存在し、それが創業メンバーであったり、社員であったり、取引先であったり、そして最終的にはお客様に伝わっていくことで、会社は成長を遂げていきます。

そして長く反映する会社は、創業者が亡くなった後でも、そのWHY?が生き続けているのだと強く感じます。

「バリューマネジメントのWHY?は何か?」改めて初心に戻って考えてみました。

バリューマネジメントは金融商品仲介業者(法的にはそうなのですが)でなく、
豊かな人生を支える財務基盤の構築と管理(=資産運用)について、
高い専門性と豊かな人間性を持つファイナンシャルアドバイザーが、
お客様を長期にわたって全力でサポートする会社です。

「これからの時代に必要不可欠な個人(パーソナル)に焦点をあてた資産運用サービス、しかしそれを本気でやっている会社が日本にはない」と感じたから、弊社がやる。

それがバリューマネジメントのWHY?です。

またそれを実現する最大の鍵は「信頼」であることも、本の中で再確認できました。
(抜粋)

・歴史的にみても信頼は企業や社会が発展するうえで、技術そのものより大きな役割を果たしてきた。

・信頼は私たちが人生を歩んでいく基盤。

・信頼がなければリスクをとることはできない。


さあ心新たに「WHYから始めよう!」。

最近、少しもやもやした事が多かったので、いいタイミングでいい本を贈ってくださったYさんに感謝です!!



2018年4月5日木曜日

マーケットレビュー(2018年3月)

■新年度のご挨拶

2018年度が始まりました。私事で恐縮ですが、資産運用業界でのキャリアも長くなり29年目に突入します。皆様、引き続きよろしくお願いいたします!

ところでメジャーリーグではエンゼルスの大谷選手が大注目されていますが、個人的には44歳のイチロー選手が古巣マリナーズに復帰し、27年目の今季、最初のヒットを打ったことに感動しました。

その時のイチロー選手のコメント⇒「この1本があるかどうか、ずっと分からないままこの冬を過ごしてきた。その意味で僕にとって重い1本になりましたね。」

さすが日米通算で4000本以上ヒットを積み重ねてきたイチロー選手の言葉は重みがあります。誰よりも多くヒットを打ってきた男だからこそ、誰よりもヒット1本の重みを知っています。

私も少しでもイチロー選手のようなプロフェッショナル魂を見習い「継続と改善」によって自分なりに仕事の質を高めていきたいと、心を新たにした次第です。

ということで前置きが長くなりましたが(笑)…、先月のマーケットレビューを行いたいと思います。今までのレビューの書き方と少し変えてみましたが、ご一読頂ければ幸いです。


■マーケットレビュー(2018年3月)

【最近の流れ①~悲観的なニュースばかりが目につく昨今~】

世界同時好況で年初から世界株式市場は力強く上昇しましたが、22日米国で賃金上昇率が87か月ぶりの高い水準になったことにマーケットは驚き、長期金利が急上昇、その影響から世界株式市場は急速に下落し始めました。

2月中旬以降は、改めて実体経済の強さを示す統計が発表され、米国の金利上昇も一服したことから、世界株式市場も徐々に落ち着きを取り戻しつつありました。

そんな矢先の31日、米国トランプ大統領が「鉄鋼・アルミニウムの輸入制限(25%、10%の関税)」を発表。その後「中国に対する知的財産権侵害に対する制裁措置」にも言及。中国は当然のごとく速やかに対抗措置をとり、今まさに世界の二大経済大国である米中を軸に、世界貿易戦争が始まるのではないかと危惧されています。

OECD(経済協力開発機構)は、米国・EU・中国が輸入コストを平均10%引き上げれば、世界のGDP1.4%、輸出を6%押し下げると試算しています。2018年の世界経済が3.5%~4%程度の成長と予想される中、貿易戦争が起きたら世界経済の成長率の1/3以上が棄損されるということになります。そしてこの悪影響を最も受けるのが、実は米国自身であると言われています。その点については、トランプ大統領も理解しており、今後現実的な対応をしていくと信じたいところであります(苦笑)。

(米国)
米国では国内的にも大きな問題が起きています。アマゾンやフェイスブックというIT大手が、政治的な側面からの攻撃を受けており、電気自動車のテスラが大規模リコールを起こし経営不安も囁かれ、ウーバーテクノロジーの自動運転車が事故を起こすなど、今後の米国のイノベーション停滞が危惧される様々な問題が露出しています。その他にも先月は、トランプ政権の経済政策面を支えてきたコーン国家経済会議委員長が辞任、ティラーソン国務長官が解任という出来事もありました。

トランプ大統領は、完全に11月の中間選挙対策モードになっています。米中間選挙は連邦議会や州知事の統一選挙ですが、大統領選の中間年に行われ実質的に全米規模の大統領信任投票の意味合いを持つと言われています。共和党が上下両院で過半数を維持できるかがポイントですが、そのためにトランプ大統領は自分の支持者をつなぎとめるべく国内外に敵をつくり、派手に立ち回っているというのが現状ではないでしょうか。

(日本)
財務省が森友文書の書き換えを認め、安倍政権が窮地に陥っています。アベノミクスの最終段階と言える岩盤規制への挑戦は風前の灯のようにも見えます。働き方改革の目玉の一つと目された「裁量労働制拡大」も先送りが決定し、今後の日本経済の成長に影を落としています。

(欧州)
欧州景気は全般的に底堅いのですが、長引く低金利の影響で金融セクターが不調。政治的には3/4にドイツで大連立政権が発足し5ヵ月ぶりに政治空白が解消されるも、メルケル首相の影響力は明らかに低下しており、欧州の政治の不安定さは暫く継続する模様。

(中国)
3/5全人代が開幕。経済面では過去に積み上がった過剰債務の削減を念頭に、経済を上手に軟着陸させることに主眼が置かれた印象。中国経済は底堅いながらも、当面は抑制気味に推移するでしょう。そんなタイミングで米国が仕掛けた貿易戦争の影響が、今後どこまで出るかに注目。政治面では国家主席の任期が撤廃され、習近平氏への権力集中の度合いが高まりました。

(その他)
ロシアでプーチン大統領が再任(選挙で圧勝)され、さらに独裁体制が強化されました。今後も国際政治の波乱要因になりそうです。


【最近の流れ②~楽観的な側面を見落としてはならない~】

実際、足元の世界経済(マクロ面)や企業業績(ミクロ面)は好調。株価の下落で割安感が台頭。PER(株価/一株当たり利益)の水準に注目。

3/9発表の2月米雇用統計では雇用者数が前月比で31万人増加(予想+20万人)。企業の設備投資も堅調。賃金上昇率は前年同月比+2.6%増に止まり市場は安堵しました。米国企業の2018年の増益率(予想)は+20%に迫る勢い、その中で株価が下落しているので、S&P500の予想PERは16倍程度まで低下。割高感がかなり解消されてきました。

日本企業の平均ROE(株主資本利益率)が初めて10%を超えてきました。「資本効率の向上」は株式市場の中長期的な上昇につながるポジティブなニュースです。2018年度の企業業績(東証1部)は、1ドル110円を前提に概ね8%~9%程度の増益というのがコンセンサスだと考えられますが、100円を割り込むような状況にならなければ増益基調は維持できるかと思います。現在株価の下落で予想PERは12倍~13倍台に低下して、こちらも割安感がでてきました。

欧州・アジアも同様に、各国の予想PERは12倍~15倍のレンジに落ち着き、過去2ヵ月にわたる株価下落で割高感が解消されています。また業績面でも中国の情報通信分野の利益成長は目覚ましく、三井住友アセットマネジメントの予測によると、同分野の利益伸長率は2017年+46.5%(実績)、2018年+25.1%、2019年+27.3%、2020年+24.3%とのこと。

現在、ネガティブなニュースは市場に織り込まれつつあり、悪い情報に対して株価が意外と下がらない、逆に少しでもポジティブなニュースがでれば、思った以上に上昇するという局面も考えられます。

とはいえ将来を正確に見通すことは誰にもできませんので、やはり長期投資において大切なことはタイミングよりも継続です。「良い局面も悪い局面も受け入れることでしか、マーケットのリスクプレミアム(収益率)は獲得できない」ということを忘れてはなりません。


20183月の金融市場の動き

3月の金融市場では、長期金利の上昇が止まりましたが、株式市場は2月に引き続き下落しました。為替市場では米ドル安が継続。年初からの円高傾向も変わらず。

3月末の長期金利】 
日本10年国債  0.05%     前月比 変わらず 昨年末比 変わらず
米国10年国債  2.74%     前月比-0.12%  昨年末比 +0.34
ドイツ10年国債 0.50%     前月比-0.16%  昨年末比 +0.07
英国10年国債  1.35%     前月比-0.16%   昨年末比 +0.17

3月末の先進国株式】
東証株価指数  1716.30   前月比-2.9%  昨年末比-5.6
米国S&P500   2640.87   前月比-2.7%  昨年末比-1.2
米国ナスダック  7063.45   前月比-2.9%  昨年末比+2.3
ドイツDAX   12096.73  前月比-2.7%  昨年末比-6.4
英国FTSE100  7056.61   前月比-2.4%   昨年末比-5.9

3月末の新興国株式】
中国上海総合   3168.90   前月比-2.8%   昨年末比-4.2
インドSENSEX  32968.68  前月比-3.6%   昨年末比-3.2
ブラジルボベスパ 85365.56  前月比 変わらず  昨年末比+11.7
ロシアRTS    1249.41   前月比-2.8%   昨年末比+8.2

3月末の商品市況】
WTI原油先物(1バレル)64.94ドル  前月比+5.4% 昨年末比+7.5
NY金先物(1オンス)  1322.8ドル 前月比+0.6% 昨年末比+1.3

3月末の月末の為替市場】(+は円安 -は円高)
米ドル/円  106.27円   前月比-0.4%  昨年末比-5.7
ユーロ/円  130.86円   前月比+0.6%  昨年末比-3.2
英ポンド/円 149.01円   前月比+1.5%  昨年末比-2.1
豪ドル/円  81.66円    前月比-1.4%   昨年末比-7.1

以上

2018年3月29日木曜日

2つの投資戦略

米国の金利上昇および世界的な政情不安等から、足元の金融市場は相変わらず不安定です。

しかし長期投資において最も重要なことは、目先の上下変動ではなく、世界経済の成長を自分自身の資産にいかに取り込むかという点(戦略)にあることを常に忘れてはなりません。

そしてその代表的な戦略としては、インデックス運用とアクティブ運用の二つの方法があります。弊社でもお客様の状況に応じて、この2つの戦略を使い分けたり、あるいはミックスしたりしながら、ポートフォリオを構築します。

インデックス運用は、市場全体をカバーするポートフォリオを組成する(市場平均に連動)ことで、世界経済の成長を取り込むことができます。

アクティブ運用は、世界経済の成長機会がどこにあるかを探り、より良い投資機会にアクセスして、市場平均を超えるかたちで、世界経済の成長を享受することを目指します。

ちなみに現在、世界的にインデックス運用がアクティブ運用よりも優勢になっています。

近年、大多数のアクティブ運用会社が市場平均(インデックス)以上の付加価値(α)を創出できない状況が続いた結果、コストをかけ手間暇かけ、それで市場平均を超えられないなら、コストを抑えて平均でいいのではないかという考え方が主流になっていったと考えられます。

※ちなみに少数の優秀なアクティブ運用会社はαを創出し続けています。

しかしながら「どこに成長機会があるかわからないので金融市場全体を買う」という考え方は、合理的に見える反面、ある種の思考停止状態という見方もできます。

ちなみにリーマンショック以前は、アクティブ運用が主流でした。しかし多くのアクティブ運用の成績がインデックス運用に劣った結果、現在インデックス運用が主流になっているわけですが…「今後はどうでしょうか?」。

個人的には、現在インデックス運用が主流になった結果、金融市場の個々の証券価格に相当なミスプライスが生じているのではないかと推測しています。

このミスプライスこそが、アクティブ運用の付加価値(α)の源泉になります。

時代は巡り、またアクティブ運用のチャンス(時代)が到来するのではなかろうか。そんな予感がする今日この頃です。

2018年3月20日火曜日

「働き方改革」について思うこと

米国トランプ政権が仕掛ける貿易戦争、動き始めそうな北朝鮮問題等、対応しなければならない国際問題が山積する昨今、日本では森友問題が再燃し、安倍政権の先行きが怪しくなってきました。新年度を迎えるタイミングで、経済政策が停滞することも危惧されます。

ところで最近、個人的に安倍政権が掲げている「働き方改革」に注目をしていたのですが、残念ながら足元では「それどころではない!」といった感じです。そんな困った状況ではありますが、本日は「働き方改革」について私見を述べてみたいと思います。

今後の日本経済の成長を考えた場合、アベノミクスの3本の矢のうち金融緩和、財政出動の効果は賞味期限が切れてきており、政府や日銀ができることは限定的になってきました。

今こそ真の意味で、強力な3本目の矢(規制緩和)を放たなければなりません。
「民間の活力を引き出す」ことでしか、今後の日本経済の成長はないからです。

その規制緩和の中で最も大きな柱が「働き方改革」です。

経済成長(GDP成長)=「生産労働人口の増加×労働生産性の向上」ですから、働き方改革は、長時間労働の是正、同一労働・同一賃金等の社会政策的な側面だけでなく、女性や高齢者の労働市場への参加率を上げつつ、ITやロボットの活用や柔軟な働き方で労働生産性を高めていく経済政策の側面を併せ持つものなのです。

1億人総活躍というキャッチフレーズに象徴されるように、現在の安倍政権の経済政策の根幹には「個々の生産性を上げるというコンセプト」があります。

私もこのコンセプトに大いに賛同しますが、一方で首相官邸から発表されている「働き方改革実行計画(工程表)」を読んでみると、働く人の処遇改善策について、思いつくままに羅列しているだけのようにしか見えません。正直このレポートを読んで、今後の日本経済が成長していくイメージが全く湧いてこないのです。

どんな時代でも、働くうえで障害になるものは存在します。政府が制度面からその障害を取り除いてくれるのは大変好ましいことですが、障害さえなくなれば、個々人の生産性が向上していくというのは幻想だと思います。

結局のところ、自分自身の生産性向上を実現できるのは、自分自身でしかありません。

そして人生には、障害を乗り越えるという経験こそが、成長を促すという側面があるわけですから、政府が度を越して個々人の働き方に口を出すことは、あまりいいことではないと思います。

また個人をあまりにも法律で守ろうとすれば、逆に企業活動の自由度を奪ってしまうリスクもあるわけです。

ということで、個人的には政府主導の「働き方改革」には期待しないで、自分自身で「働き方改革」を実践していこうと決意した次第です(笑)。パーソナルファイナンス的には「人的資産の運用計画を修正する」という言い方もできます。

新年度を迎えるにあたって、皆さんも是非「働き方改革」について考えてみてはいかがでしょうか?

2018年3月6日火曜日

マーケットレビュー(2018年2月)

月初め恒例の「先月の社会・経済・金融レビュー」をお届けします。

さて周知のとおり、先月は大変厳しいマーケット環境となりました。
発端は2月2日に米国で8年7ヵ月ぶりの高い賃金上昇が示されたことです。
それを受け金融市場では米国長期金利が上昇(債券価格は下落)、
相対的な割高感が意識され、株式市場は大幅に下落しました。
その後もVIX指数がらみのプログラム売買が相場変動に拍車をかけ、
売りが売りを呼ぶ展開、急速に金融市場が不安定化する流れとなりました。

リーマンショックからもうすぐ10年、極端な金融緩和時代の終焉を目前にして、
「バブル崩壊でリーマンショックの再来か?」と不安を煽る記事も見かけます。
しかし実は過去2年くらいを振り返っても、同様レベルの相場変動が2.3回はありました。

その度に弊社からは皆様には「投資継続の重要性」を呼びかけてまいりましたが、今回もまた同様のメッセージを送りたいと思います。

相場が悪い時はネガティブな、相場が良い時にはポジティブなニュースが市場に蔓延します。しかしそんな目先の情報に流されることなく、私たちは長期視点から合理的な投資を継続してまいりましょう。

私はそれが豊かな人生の経済基盤の構築につながると信じています。

それでは改めて、先月の振り返りを致します。以下ご確認ください。

■2018年2月、IFA中浜祐士が注目したニュース(社会・経済・金融)

1日 米大統領、一般教書演説(1/30)で1.5兆円のインフラ投資計画を表明。
1日 米FOMC(1/31)、追加利上げ見送り(イエレン議長最後のFOMC)。
1日 日本の生保、外債投資拡大の見方強まる(米金利高と円高ドル安の共存で)。
1日 日銀がマイナス金利を導入して丸2年、銀行は貸出金利1%割れで苦境に。
1日 政府は自社株を使ったM&Aのルールを見直す。
2日 アマゾン10-12月決算、最終利益は前年同期比で2.5倍(約2000億円)。
3日 2/2米雇用統計、8年7か月ぶりの賃金上昇率(前年同月比+2.9%)を示す。
4日 欧米の機関投資家がESG投資を加速、化石燃料やたばこ等の投資撤退。
4日 日本の建機メーカーがインドを開拓(10年前の中国のイメージ)。
5日 VIX指数(恐怖指数)急上昇を受け、NYダウが1175ドル安(下落率4.6%)。
6日 NYダウの急落を受け、日経平均も1071円安(下落率4.7%)。
6日 1ドル108円台まで円高が進むも、財務省は沈黙(日米通商関係が背景に)。
7日 2017年米貿易赤字が前年比で8.1%増加、対中国が過去最大。
7日 ユーロに先安観台頭。ECB緩和縮小で資金調達通貨の魅力が薄まる。
7日 米国上院、今来年度の歳出上限を3000億ドル引き上げることで合意。
8日 2017年の日本経常黒字は21.8兆円となり前年比+7.5%増加。
9日 過熱するアジアの不動産市場だが、空室率が上昇、変調の兆し。
8日 世界株式市場が再び急落、NYダウは1032ドル安(下落率4.1%)。
10日   VIX指数関連の上場投資証券が一晩で96%の損失を出して償還。
11日 9日時点の世界株式時価総額は1週間で6%減(約5兆ドル減少)。
11日 2018年3月期の日本企業の純利益27%増、二期連続最高益更新。
13日 リスクオフで円相場が1ドル107円台に(2017年9月以来5か月ぶり)。
14日 世界的企業のユニリーバがSNSを中心にネット広告をとりやめる方針。
14日 米国1月消費者物価指数が前年同月比+2.1%、物価上昇の兆し。
16日 円高止まらず1ドル105円台に突入、米国財政赤字の拡大を懸念。
21日 iPhoneXの失速が鮮明、売れ筋は割安な「8」に。
21日 1/30-31のFOMC議事録が公表され、利上げ加速の可能性が示唆される。
21日 米大統領経済報告で、貿易赤字の不満からドル安容認の姿勢。
23日 日本の1月消費者物価指数は前年同月比+0.9%。
23日 豪資源BHP、EV普及で銅やリチウムの需要拡大を見込み設備投資拡大。
24日 ECB(欧州中銀)が6月理事会で量的緩和終了の是非を決定する意向。
25日 日本の会社員の可処分所得は過去10年で3%減少していることが判明。
27日 IOTに欠かせない次世代通信規格5Gが1年前倒しの2019年商用化へ。
27日 パウエルFRB新議長が議会証言で強気の景気見通しを披露。
28日 家庭に値上げの春到来、公共料金、食品、引っ越し等幅広い分野で値上げ。
28日 中国に景気減速感、2月景況感指数は輸出振るわず1ポイント低下(50.3)。
28日 日本の1月鉱工業生産指数は前月から6.6%低下(前月の反動減の範囲か?)
28日 NYダウは380ドル安、パウエルFRB議長の「タカ派」姿勢を警戒。

■2018年2月の金融市場の動き

【2月末の長期金利】
日本10年国債  0.05% 前月比-0.04%  昨年末比 変わらず
米国10年国債  2.86% 前月比+0.16%  昨年末比 +0.46%
ドイツ10年国債 0.66% 前月比-0.03%  昨年末比 +0.23%
英国10年国債  1.51% 前月比+0.02%  昨年末比 +0.33%

米国の長期金利は良好な雇用統計と物価上昇観測を受け上昇、一方で欧州金利はイタリア、ドイツの選挙前ということもあり、政治的不透明感から低下。日本は黒田日銀総裁の再任があったが大きな変動はなし。

【2月末の先進国株式】
日本(TOPIX)  1768.24  前月比-3.7% 昨年末比-2.7%
米国(S&P500)  2713.83  前月比-3.9% 昨年末比+1.5%
(ナスダック) 7273.01  前月比-1.9% 昨年末比+5.4%
ドイツ(DAX)  12435.85 前月比-5.7%  昨年末比-3.7%
英国(FTSE100) 7231.91  前月比-4.0%  昨年末比-5.9%

米国株式はパウエルFRB議長の「タカ派」発言、トランプ大統領の保護貿易への傾斜等を警戒して大幅下落。しかし昨年末比で見ると、震源地の米国より、日本や欧州の株価下落率が高い。これはドル安の影響が大きいと考えられる。

【2月末の新興国株式】
中国(上海総合)   3529.41   前月比-6.4% 昨年末比-1.4%
インド(SENSEX) 34184.04  前月比-5.0% 昨年末比+0.4%
ブラジル(ボベスパ) 85353.60  前月比+0.5% 昨年末比+11.7%
ロシア(RTS)    1285.47   前月比+0.2% 昨年末比+11.4%

中国に景気減速感が出てきた。習近平の経済政策が景気刺激策から引き締めに転換された影響。金融・不動産のバブルの影響を最小限に抑えながらソフトランディングする態勢に入った模様。世界経済や商品市況にも徐々に影響を与える可能性がある。(長期視点では悪いことではない。)

【2月末の商品市況】
WTI原油先物(1バレル)61.64ドル 前月比-4.8% 昨年末比+2.0%
NY金先物(1オンス)  1315.5ドル 前月比-1.8% 昨年末比+0.7%

原油価格は、米国の在庫増加やシェール勢の増産を受け需給悪化懸念から下落。
金価格は、ドル安の影響で上昇してもよさそうだが、金利が上昇していることから需要盛り上がらず。

【2月末の月末の為替市場】(+は円安 -は円高)
米ドル/円  106.70円  前月比-2.3% 昨年末比-5.3%
ユーロ/円  130.11円  前月比-4.0% 昨年末比-3.8%
英ポンド/円 146.85円  前月比-5.3% 昨年末比-3.5%
豪ドル/円  82.82円   前月比-5.9% 昨年末比-5.8%

1月は米国の状況からドル安が進捗したが、2月は世界的なリスクオフの流れで円高になった。同じ円高ドル安でも中身が変化していることに注目。しかしながら1ドル105円、1ユーロ130円という水準は、海外投資においては比較的悪くない水準だと思う。

以上。

2018年3月1日木曜日

俯瞰(ふかん)する

長年、金融マーケットで仕事をしてきましたが、一般の人より少しできるようになったかなと感じるのが「俯瞰(ふかん)する」ということです。

「俯瞰」の意味を辞書で調べると「高いところから見下ろし眺めること」と定義されています。

「俯瞰」に近い意味で「鳥瞰(ちょうかん)」という言葉もあります。鳥瞰はいわゆる鳥の眼を持つということで、これも俯瞰と同様、「高いところから見下ろし、大局観を持って、物事を見る」ということです。

さて昔話になりますが、私が野村證券に入社して間もない頃、株式の売買業務(トレーディング)で、お客様を儲けさせることができないで悩んでいた時期がありました。

そんな時私は、本社の有名なチャート分析の●●部長に内線電話をかけ、その悩みの解決策を聞いたところ…

●●部長曰く
「中浜君は市場の変動と一緒に目線と気持ちが上下するから、結果的に高い価格で買って安い価格で売ってしまうのだと思うよ。目線と気持ちを一定にして、市場の変動と向き合わなければ儲けることはできないよ!」

「なるほどー」と思いました。

おそらく、私はこの時初めて「俯瞰」の大切さについて学んだのだと思います。
そして今思うと当時の野村證券は、支店の新入社員が本社の部長に突然電話をして質問ができる、そんな企業文化があったのだなーと妙に懐かしく感じたりもします(笑)。

その後、私の仕事は短期的な株式売買(短期トレーディング)ではなく、投資信託を通じた長期ポートフォリオ運用(長期インベストメント)へと大きく変化しましたが、物事を俯瞰的に捉えることの重要性は何ら変わりません。

最近(特に米国金利の急上昇で株式市場が大きく下落した2月2日以降)、市場の変動が大きくなっています。しかし新人証券マンの頃の私のように、目線や感情を上下させてはなりません。

過去の経験則から、時間軸の中で俯瞰するなら、このように一旦市場が不安定になってくると、落ち着くのに2ヵ月~3ヵ月くらいはかかるかなという捉え方をします。

要するに2月2日を起点にするなら、今は一カ月経過した地点におり、春先くらいまでは不安定な市場心理が続くかもしれません。

おそらくこの不安定な時期に、巷では誤った意思決定をする投資家が大幅に増えるでしょう。その繰り返される誤りから、投資家を救うことができる手法こそが長期投資です。

だからこそ私は当ブログ「長期投資の視点」で、不安定さ(リスク)を俯瞰し許容しながら、「裏付けのある資産に継続投資をしていくことの重要性」をお伝えしていきたいと思うのです。

そして「俯瞰すること」は資産運用に限らず、仕事や家庭でも使えるスキルだと確信する今日この頃です。
※個人的には、家庭では俯瞰するスキルが上手く使えてない気がするのですが…(笑)。